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想ひ出
今から6年前。振り返ってみると、あの日がボクの人生を大きく変えました。

2005年7月14日

ボクはロバート・ヒルキ氏と一緒に、某ホテルで開かれたETSによる記者発表に参加していました。彼らの来日目的は、テスト形式の変更を発表することです。今だから言えますが、形式変更については事前にリークを受けていたので、どのように変更されるか知っていましたが、オフィシャルな会見にも参加しました。それに、ETSの人と会える機会などめったにありませんから。

会見はETSのdelegatesによる説明が中心で、後半に質疑応答がありました。当日配布された資料には、いくつかの疑問点や間違った点、そして、後に変更された点がありました。

例えば、パート5の日本語名称は「短文穴埋め問題」ですが、発表当時は「単文穴埋め問題」でした。新しいパート6が「長文穴埋め問題」になったので、それとの対比で「短文穴埋め問題」が妥当だと思ったり「いや、複文でも重文でもなく本当に単文が出題されるのか」と疑ったりしたものです。実際はただのタイプミスで後に「短文」に訂正されました。

パート6は「文書が3つ出題され、それぞれに4つの設問が付く」と発表されました。実際2006年5月から7月の公開テストまではその通りでしたが、同年9月から「文書が4つ、それぞれに3つの設問」に変更されたのです。また、会見現場で配布された資料の中にはサンプル問題が掲載されていましたが「文脈依存型」の設問が1つもありませんでした。それに気づいた参加者の1人が質疑応答の時間に突っ込んでいたのを覚えています。勇猛果敢に挙手して、堂々と日本語で「空白の前後を見れば解けます」と質問したのです。ETSの方は「Well, this is just a sample.」と答えていました。2006年5月に施行された初の新形式テストでは、確かに「文脈依存型」の設問がありました。そのうちの1つは、suchが正解となるものでした。たまたまロバートと一緒に作った模試にも類似したものを入れていたので、いきなり的中してひっそり喜んだことも覚えています。ただし、その問題はリサイクルされることなく消えていったので悪問だったのかも知れません。

パート7の長文読解問題に、いくつの文書が出題されるかは明確にはアナウンスされませんでした。「シングルパッセージのセクションには、設問が2つから5つ付いた文書が7つから9つ出題される。計28の設問が出る」と説明されたのです。ところが、7文書だとすると、すべて4問付きの文書になるはずだと思い、8文書か9文書が出題されると思いました。疑問に思ったボクは、家に帰ってからメールでETSの方に質問をしました。「文書が7つになる可能性は1つしかないですね。すべてが4問付きの場合です。ですから文書数は8か9になるのではないですか」と。確か、翌日あたりに返事が来ました。「あなたの言っていることが正しい。文書数は8か9になる。指摘してくれてありがとう」と。しかしながら、まさに今、これを書きながらボクは自分が間違っていたことに気づきました。文書数が7でも28問を出題するパターンはあります。「2344555」なら、2つから5つの設問を文書に付けながら合計が28です。ということは、ETSが「あなたが正しい」と言ったのは、どうしてだろう、と今さら疑問に思います。

質疑応答の時間には、ロバートがアイテムライターとしてナイスな質問をしました。それは「アクセントが4種類になるのは理解した。良いことだと思う。では、印刷される英語はアメリカ英語なのか、それとも複数の表記が混ざるのか」です。つまり、国によって書き言葉に微妙に差があるため、それらが混ざるのかどうか質問したのです。これは自らが教材を作る人間だからこそ思いつく質問です。例えば、TOEICにcatalogueは登場しません。catalogです。回答は「印刷される英語は、これまで同様にアメリカ英語だ」でした。

実は、ロバートは、もう1つ質問をすべきでした。それは「印刷されないけど発音される英語はどうか」です。つまり、リスニングセクションに登場するナレーションは「印刷」されてはいませんが「発音」はされます。それがアメリカ英語かどうかも教材を作る人間にとっては重要です。勝手にアメリカ英語が適用されると思い込んでしまいましたが、実際どうなったかと言えば、2006年の公開テストに、ショッピング用か荷物を運ぶカートを指して、baggage trolleyという言葉が登場しました。ロバートによれば、ほぼ間違いなくアメリカ人はそう呼ばないそうです。

会見が終了し、ロバートとボクは中華料理屋に入りました。昼食を食べながら、1つの企画を議論し、実現に向けて動くことを決めました。

「世界初の模試を作ろう」

2006年5月から新形式のテストが始まるということは、その前に「公式ガイド」が出るはず。じゃあ、それより前に我々の手で模試を作って勝手に攻略法まで書こう、と。この企画のコードネームはUGにしました。Unofficial Guidebookです。企画が企画だけに、超極秘にプロジェクトを進めました。ロバート以外に執筆者を増やさないようにするために、ボクが日本語解説を書くことになったのです。2005年8月1日から執筆を始め、約3カ月後に200問の模試が完成、11月に発売されました。その月に実施された公開テストで初めてボクは990点を取得しましたが、結果発表は12月でしたので本のプロフィールには「TOEIC985点取得」となっていました。990点ではない唯一の本です。

その本の表紙に入ったのが「ヒロ前田」という文字です。これはボクが付けた名前ではありません。他人によって付けられた名前です。「どうせ最初で最後の本だから何でもいいや」というノリでボクも合意しました。このような経緯で、ボクは存在していないテストの攻略法を書いてしまい、ヒロ前田という別人が誕生したのです。

「新公式問題集」が発売されたのは2006年の4月でした。ロバートと一緒に書いたその模試は、少なくとも日本国内では初の模試でしたので、確か約半年で3万部くらい印刷されました。「新公式問題集」が発売されたことで一気に売れなくなったのは内緒です。

その後、2006年5月から新形式が導入され、12月に刊行された「直前の技術」の「リニューアル版」に著者として加わりました。「直前の技術」は2004年の12月に刊行された本ですが、2年後に生まれ変わったのです。あの本に参加したことで、ヒロ前田なる人物は疑いようのない変態街道を時速300キロで突っ走り始めました。

6年前。2005年7月14日。あの日がボクの人生を大きく変えました。

当時のブログ記事をあちこちで探したのですが、まだブログが日本に浸透する前だったようです。ETSの会見内容については、ほとんど見つかりません。TOEIC界の大先輩である神崎正哉さんのブログを見ると、2005年9月が最初でした。「第117回TOEIC公開テスト」という記事によると、どうやらexpertiseがパート5に正解として出題されていたようです。つい最近にも正解となった語です。Part Vという表記が懐かしいですね。その記事へのリンクです。Part VIで恥ずかしいミスをされたようなので、そこは読まないであげてください。

comments(7) URL 2011.07.14 Thursday ヒロ前田の活動TOP
Comment
その時の情景が脳裏に浮かんでくるような記事でした。ありがとうございます。ヒロ前田さんのネーミングはこの時誕生したんですねぇ。今後とも記事の更新楽しみにしております。
かなゆび | 2011/07/15 12:30 AM
かなゆびさん、
さっそくコメントをいただき、ありがとうございました。ここに書いたことは、静止画か動画として脳裏に残っていたものを描写したものです。なつかしい思い出です。ヒロ前田という名前が決まった瞬間もよく覚えています。目の前にFさんがいて、左にTさんがいました。
前田 | 2011/07/15 12:49 AM
疑いようのない変態街道……素晴らしいですね。

まさに展開型の人生。
目標に向かって突き進む人生も良いですが、思いもしない方向に進んでいく人生も刺激が大きくて最高です。

人生の岐路。

2007年の10月にDF(ダッシュ・フォーラム@関内)に参加していなかったら、今の僕は存在しなかったと思います。

前田先生、そろそろDF、いかがですか?
何でもお手伝いさせていただきますので。
HUMMER | 2011/07/16 1:53 AM
私が自覚していないのに変態と呼ばれたのは、ほんの2年前。その前に変態街道を突っ走っていたなんて尊敬します。

そろそろ何かのアルバムを舐めにいかないといけないですね。
2枚目か3枚目がよいです。
Tommy | 2011/07/16 10:37 AM
HUMMERさん、
DFですか。ここ2年は年末しかやっていませんが今年は暑いうちにやりたいと思っています。関内のDFなつかしいですね。あの時は、すでにHUMMERさんは文法問題をスイスイ解けていたので、後は量を重ねれば勝手に伸びていくだろうと思っていました。

Tommyさん、
コメントありがとうございました。2枚目か3枚目ですか。なんでも来い、です。自業自得の街道を時速300キロで走り抜けるのは6枚目なので、それも候補に入れてくださいますよう、お願い申し上げます。
前田 | 2011/07/16 1:57 PM
「Part 6はそれぞれの文書に4つの設問があった」という情報を探していたので、大変参考になりました。ありがとうございました!
いまだにその旧形式のまま販売している攻略本があります。Part 7を見ると森タイプの問題も皆無です。初版1998年、改訂2006年とあります。特にPart 7が平易すぎることを私は問題視していて、講師として使用したくないのですが、なぜか複数の研修会社がそのシリーズをテキストとして選定してきます。
TOEICクラスで使うことを前提とした(できれば安価な)テキストの開発も前田さんのような方がやってくだされば、このようなジレンマから解放されるのになあ、と常々思っています。
Ted | 2011/07/19 10:36 PM
Tedさん、
こちらこそ、コメントを残していただきありがとうございます。研修会社が本を指定する場合は、かつ、その本にメリットが小さいと仮定するならば、複数の講師が自信を持って「使わない」と宣言しつつ具体的な理由を説明し、さらに代替案を提示するのがよいと思います。クライアントのためですからね。背景に何らかの癒着構造がある場合は解決しにくいでしょうが。
前田 | 2011/07/20 12:52 AM









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