疑問82 マークミス発生のメカニズム
TOEICのスコアは正答数をベースに算出されます。正答数とは「塗られた正解記号の数」です。よって、200問を完璧に解答する力があっても、正答数が200とは限りません。何らかの理由で、不正解の記号にマークを塗ると「この人は、この問題を正答する力がなかった」とみなされます。
公開テストで、マークミスをしたことに気づく方法は1つ考えられます。それは「マークシートを持って帰って、設問と選択肢を思い出し照合する」ことです。あまり現実的ではありません。
模擬試験を多くの人に受験していただき、答え合わせをしてから細かくディスカッションをすると「マークミス」がいかに頻繁に発生するかに気づきます。先日、ある方は、リスニングセクションの誤答数が5前後でしたが、そのうち単純なマークミスが3問でした。ほかにも、ディスカッションをすると、次のような会話が起きることが頻繁です。
「はい、75番。間違った人はいますか」
「間違えました。あれ、これ(B)を選んだつもりなのに(C)を塗っています」
「では、176番。これはいかがですか」
「あれ、またマークミスです。絶対にTuesdayだと思っていたのに(C)ではなく(B)を塗っています」
マークミス発生メカニズムは完全には解明されていませんが、いくつかの傾向があるようです。
1. NOT問題
2. 順番
3. ほか
1. NOT問題
大文字のNOTを含むアイテムはパート7にのみ登場します。4つの選択肢のうち3つを消去することで解答できるタイプです。教材の中には、正解の選択肢の内容を、文書にある情報を使って「否定できる」ことがありますが、それはNOT型問題としては不適切です。あくまでも「正しいとは言えない」選択肢を選ぶことが求められているのが、TOEICにおける大文字のNOTの意味です。
では、例を見てみましょう。
What is NOT available for free?
(A) Printers
(B) Parking space
(C) Transportation service
(D) Access to the Internet
無料で提供されていないものが問われていますので、4つのうち3つは無料で提供されていることを、文書にある情報を使って判断できます。正解が(D)だとします。TOEICの世界ではインターネット利用が無料かどうか不明であることが多いですから。
Aさん:
「プリンターと交通についてはすぐに見つけたのよ。で、あと1つ、インターネットか駐車場を探すのに時間がかかってね。下の方にコメ印があったでしょ。あそこにparkingを見つけたから、ホッとしたわ。TOEICって意地悪ね。もっと近い所に書いておいてくれればいいのに」
診断:
死に物狂いで努力して最後に見つけた駐車場。それを発見した時の喜びは何にも代えがたいものだったはずです。この方は、高い確率で最後に見つけたparkingを選んでいます。つまり、自信たっぷりで誤答の(B)を塗ったでしょう。まさかマークミスをしたとは思っていません。評価は「おっちょこちょい」です。
2. 順番
選択肢の順番が錯覚を招く場合です。日付や曜日、月など「順番」が関係しそうな場面で起きるミスです。
例を見てみましょう。
When will the workshop be held?
(A) On Tuesday
(B) On Wednesday
(C) On Thursday
(D) On Friday
研修が開かれる日が問われています。正解が(B)だとしましょう。文書を読めば水曜日に開催されると判断可能です。
Bさん:
「研修は水曜でしょ。あれは楽勝だったわ。月曜は最終的な参加者の数がメールで知らされる日だし、確か火曜は機材の搬入日でしょ。で、搬入日の翌日にOne day研修があるってどこかに書かれてあったから、水曜が答えよ。木曜は反省会だし」
診断:
月曜は違う。火曜も違う。火曜の次は水曜日。だから水曜が正解だ、と判断したのは正しいです。ところが、この方は、頭の中で、月、火、水と数えてしまったのではないでしょうか。イチ・ニ・サン、ダー!と。その意識で選択肢を見て、上からイチ・ニ・サンで、(C)の木曜をダー!と選んだ可能性があります。評価は「妄想爆走型」です。
3. ほか
ほかに、どのようなパターンがあるでしょう。個人的に、今までに耳にした事例はいくつかありますが、どれも法則化できません。正解の選択肢の英語を誤解して「どれも選べなかった」という例はありましたが、それはマークミスとは呼べません。
模擬試験の後で、3名から5名程度の少人数でディスカッションをしたことが5回くらいありますが、マークミスは常に誰かに起きていました。それほど高確率で発生するのです。マークミスを防ぐ方法は2つあります。まずは、上で紹介した2つのパターンに当てはまりそうなケースでは、マークを塗る時点で、より注意しながら塗ることです。当たり前のことですが、それをしない理由はないでしょう。そして、もう1つは見直す時間があれば「塗るつもりだったマークが塗られているか」を確認することです。時間がなければ実行しようがありませんが、時間がある場合はやるべきでしょう。リーディングはもちろんのこと、リスニングセクションでも、パート3とパート4なら見直すことでマークミスに気づく可能性はあります。
ただし、見直し作業をしている際に、最も警戒すべきことがあります。「直したら間違える法則」です。これは100パーセント正しい法則ではありませんが、78パーセントくらいは正しい気がします。「マークミス」を発見するつもりなのに「これ、本当に(B)のacceptableでいいのか。(D)のacceptedが正解じゃないのか」と迷いが生じた場合には、もともと選んでいたものを修正すると間違える法則です。見直す時間がある人は、すでにハイレベルである可能性が高いです。その人が、いったん(B)を選んでいた場合は、少なくとも(D)よりは正解である可能性が高いと判断していたはずです。見直す時には、(B)に不安を抱えていたとしても、(B)より(D)が正解である可能性が高い理由を思いつかない限りは、(B)のままにしておく方が正答できる可能性が高いということです。もちろん、最初に(B)を選んだ際に見落としていた情報に後で気づいた場合は別ですが、だいたいにおいては、直したら間違える法則は正しいようです。
リーディングセクションで470以上を安定的に取っているのに、まだ495を取れていない方は、もしかすると、たまにマークミスを犯しているのかも知れません。英語力とは無縁の力ですが、スコアにこだわる場合はマークミスを防ぐことにも意識的に取り組むべきでしょう。マークミスの発生メカニズムがさらに広範囲で解明され、有効な防止策が確立されたら「新TOEICテスト マークミス防止の技術」という本を出版することにします。
公開テストで、マークミスをしたことに気づく方法は1つ考えられます。それは「マークシートを持って帰って、設問と選択肢を思い出し照合する」ことです。あまり現実的ではありません。
模擬試験を多くの人に受験していただき、答え合わせをしてから細かくディスカッションをすると「マークミス」がいかに頻繁に発生するかに気づきます。先日、ある方は、リスニングセクションの誤答数が5前後でしたが、そのうち単純なマークミスが3問でした。ほかにも、ディスカッションをすると、次のような会話が起きることが頻繁です。
「はい、75番。間違った人はいますか」
「間違えました。あれ、これ(B)を選んだつもりなのに(C)を塗っています」
「では、176番。これはいかがですか」
「あれ、またマークミスです。絶対にTuesdayだと思っていたのに(C)ではなく(B)を塗っています」
マークミス発生メカニズムは完全には解明されていませんが、いくつかの傾向があるようです。
1. NOT問題
2. 順番
3. ほか
1. NOT問題
大文字のNOTを含むアイテムはパート7にのみ登場します。4つの選択肢のうち3つを消去することで解答できるタイプです。教材の中には、正解の選択肢の内容を、文書にある情報を使って「否定できる」ことがありますが、それはNOT型問題としては不適切です。あくまでも「正しいとは言えない」選択肢を選ぶことが求められているのが、TOEICにおける大文字のNOTの意味です。
では、例を見てみましょう。
What is NOT available for free?
(A) Printers
(B) Parking space
(C) Transportation service
(D) Access to the Internet
無料で提供されていないものが問われていますので、4つのうち3つは無料で提供されていることを、文書にある情報を使って判断できます。正解が(D)だとします。TOEICの世界ではインターネット利用が無料かどうか不明であることが多いですから。
Aさん:
「プリンターと交通についてはすぐに見つけたのよ。で、あと1つ、インターネットか駐車場を探すのに時間がかかってね。下の方にコメ印があったでしょ。あそこにparkingを見つけたから、ホッとしたわ。TOEICって意地悪ね。もっと近い所に書いておいてくれればいいのに」
診断:
死に物狂いで努力して最後に見つけた駐車場。それを発見した時の喜びは何にも代えがたいものだったはずです。この方は、高い確率で最後に見つけたparkingを選んでいます。つまり、自信たっぷりで誤答の(B)を塗ったでしょう。まさかマークミスをしたとは思っていません。評価は「おっちょこちょい」です。
2. 順番
選択肢の順番が錯覚を招く場合です。日付や曜日、月など「順番」が関係しそうな場面で起きるミスです。
例を見てみましょう。
When will the workshop be held?
(A) On Tuesday
(B) On Wednesday
(C) On Thursday
(D) On Friday
研修が開かれる日が問われています。正解が(B)だとしましょう。文書を読めば水曜日に開催されると判断可能です。
Bさん:
「研修は水曜でしょ。あれは楽勝だったわ。月曜は最終的な参加者の数がメールで知らされる日だし、確か火曜は機材の搬入日でしょ。で、搬入日の翌日にOne day研修があるってどこかに書かれてあったから、水曜が答えよ。木曜は反省会だし」
診断:
月曜は違う。火曜も違う。火曜の次は水曜日。だから水曜が正解だ、と判断したのは正しいです。ところが、この方は、頭の中で、月、火、水と数えてしまったのではないでしょうか。イチ・ニ・サン、ダー!と。その意識で選択肢を見て、上からイチ・ニ・サンで、(C)の木曜をダー!と選んだ可能性があります。評価は「妄想爆走型」です。
3. ほか
ほかに、どのようなパターンがあるでしょう。個人的に、今までに耳にした事例はいくつかありますが、どれも法則化できません。正解の選択肢の英語を誤解して「どれも選べなかった」という例はありましたが、それはマークミスとは呼べません。
模擬試験の後で、3名から5名程度の少人数でディスカッションをしたことが5回くらいありますが、マークミスは常に誰かに起きていました。それほど高確率で発生するのです。マークミスを防ぐ方法は2つあります。まずは、上で紹介した2つのパターンに当てはまりそうなケースでは、マークを塗る時点で、より注意しながら塗ることです。当たり前のことですが、それをしない理由はないでしょう。そして、もう1つは見直す時間があれば「塗るつもりだったマークが塗られているか」を確認することです。時間がなければ実行しようがありませんが、時間がある場合はやるべきでしょう。リーディングはもちろんのこと、リスニングセクションでも、パート3とパート4なら見直すことでマークミスに気づく可能性はあります。
ただし、見直し作業をしている際に、最も警戒すべきことがあります。「直したら間違える法則」です。これは100パーセント正しい法則ではありませんが、78パーセントくらいは正しい気がします。「マークミス」を発見するつもりなのに「これ、本当に(B)のacceptableでいいのか。(D)のacceptedが正解じゃないのか」と迷いが生じた場合には、もともと選んでいたものを修正すると間違える法則です。見直す時間がある人は、すでにハイレベルである可能性が高いです。その人が、いったん(B)を選んでいた場合は、少なくとも(D)よりは正解である可能性が高いと判断していたはずです。見直す時には、(B)に不安を抱えていたとしても、(B)より(D)が正解である可能性が高い理由を思いつかない限りは、(B)のままにしておく方が正答できる可能性が高いということです。もちろん、最初に(B)を選んだ際に見落としていた情報に後で気づいた場合は別ですが、だいたいにおいては、直したら間違える法則は正しいようです。
リーディングセクションで470以上を安定的に取っているのに、まだ495を取れていない方は、もしかすると、たまにマークミスを犯しているのかも知れません。英語力とは無縁の力ですが、スコアにこだわる場合はマークミスを防ぐことにも意識的に取り組むべきでしょう。マークミスの発生メカニズムがさらに広範囲で解明され、有効な防止策が確立されたら「新TOEICテスト マークミス防止の技術」という本を出版することにします。
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